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新回路で高性能な光子・粒子・電磁波用超伝導検出器―分析電子顕微鏡や光子顕微鏡、放射線分光器などへの応用が期待:産業技術総合研究所ほか

(2018年2月1日発表)

 (国)産業技術総合研究所と東京大学は21日、光子や粒子のエネルギーや微弱な電磁波の強さの精密な計測が可能な超伝導検出器の高性能化を可能とする回路を開発したと発表した。

 超伝導検出器は、低周波の磁界、ミリ波からX線・ガンマ線までの電磁波やエネルギー粒子を小さなノイズで検出することができるので、脳磁計、心磁計、分析電子顕微鏡、天文観測用受信器などに用いられてきた。しかし室温検出器に比べると受光面積が23桁小さく、入射信号の検出効率が23桁低いという課題があった。その主な原因は極低温の多画素検出器と室温装置をつないで信号を読み出す配線の性能にあった。配線の数を増やすと、それを通って熱の流入量が増え、冷却装置をより大がかりなものとしなくてはならないという矛盾があった。

 そこで超伝導検出器で得られた信号を、いったん室温検出器が機能する周波数に変換し、画素ごとに異なる周波数の信号とした。このとき、信号の増幅や信号処理なども行い、その後もとの低周波数に戻すという方法をとることで、配線に載せられる画素数を大幅に増やし、性能向上を確認できた。

 これにより、分析電子顕微鏡や光子顕微鏡、放射線分光器などへの応用が期待される。