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収穫や作業を省力化できるイチゴの新品種「恋みのり」:農業・食品産業技術総合研究機構

(2017年2月20日発表)

 (国)農業・食品産業技術総合研究機構は2月20日、味がよく、大幅な栽培の省力化ができるイチゴの新品種「恋みのり」を開発したと発表した。農家の手間が省けて、長距離輸送にも適している。

 イチゴ栽培は、他の野菜や果実栽培と比べて年間の労働時間が特に長く、その6割程度を収穫と調製作業に割いてきた。これがイチゴの大規模栽培化を妨げていた。

 農研機構は食味の良さと多収はもちろんのこと、大幅な省力化ができて輸送の際の日持ちの良い品種を目指し、熊本県、長崎県、大分県、山口県で試作を続けてきた。食味の良い「ひのしずく」と大粒で多収の早生系「03042‐08」を交配して開発した。

 新品種の「恋みのり」は大粒で鮮やかな赤色が特長。果房の成長がよく、見つけやすいため収穫時の省力化ができる。収益性の高い2L以上の大玉率も高く、収穫最盛期の大玉率は8割以上となる。

 果実の硬度は適度に高いことから輸送中の痛みが少なく、日持ちがするために、長距離の輸送に優れている。香りも強く糖度と酸度も安定している。

 「あまおう」と比べて収穫時間は7割程度、調製時間は半分近い効果が得られ、イチゴ栽培の大規模化に貢献しそうだ。今春から民間種苗会社を通じて種や苗を提供する。