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新型コロナワクチン接種への態度をウェブ調査―接種行動には心理的要因が大きく関連:筑波大学

(2022年1月5日発表)

 筑波大学は1月5日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの接種に関して全国1,000名を対象に実施したウェブ調査結果を発表した。ワクチン接種に対する人々の対応・態度とその要因を調べたもので、ワクチン接種を一貫して忌避(きひ)している人は副反応への懸念が大きく、ワクチンに関する誤情報を信じている、などが浮き彫りになったという。

 調査は、一般の人々にワクチン接種が広く開始された2021年4月と、国民のおよそ半数が少なくとも1回のワクチン接種を終えた同年9月の2つの時点に焦点を当てて行った。

 ワクチン接種への対応に加え、COVID-19への不安、罹患(りかん)リスクに関する認知、ワクチン副反応への懸念、誤情報への信奉(しんぽう)度、政府への信頼感といった、COVID-19に関する心理、インフルエンザワクチン接種や健康診断、運動などの日常的な健康関連行動、一般的な不安傾向や疑似科学への信奉度などを調べた。

 その結果、4月時点ではワクチン受容意向のあった人は全体の40.4%、ワクチン忌避傾向の人は40.7%と拮抗(きっこう)していたが、9月時点では忌避傾向の人は8.9%へと減少。4月にワクチン受容傾向が高かった人は定期的なインフルエンザワクチン接種や健康診断を受けている割合が多いことが分かった。

 9月では、これらに加えて、COVID-19への不安、一般的な不安、政府への信頼感が高い人がワクチン接種を受容し、反科学的態度、副反応への懸念、ワクチンに関する誤情報への信奉度が高い人はワクチン接種を忌避する傾向が見られた。

 ワクチン忌避の傾向にある人に理由を複数回答で尋ねたところ、「副反応への懸念」が65.2%、「長期的な害への懸念」が49.4%、「新しいタイプのワクチンであることへの懸念」が24.7%あった。

 4月にワクチン忌避であったが9月に受容へと変わった人に態度変化の理由を尋ねたところ、「変異株の出現など現在の感染状況を考慮したから」29.9%、「周りの人々が接種していたから」25.4%、「早く元の生活に戻りたいから」22.4%などの回答があったという。

 ワクチン接種行動には心理的要因が大きく関連していることから、調査を実施した研究者は、ワクチンに対する正確な情報を適切な方法で発信し続けることが重要と指摘している。