[編集発行] (公財)つくば科学万博記念財団 [協力] 科学技術振興機構(JST)・文科省研究交流センター

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わかる科学

温度で色が変わる! 「液晶」ってなに?

(2018年5月15日)

 液晶テレビなどでよく耳にする「液晶」は、世の中のさまざまなところで使われています。パソコンのディスプレイや、温度によって色が変わる“感温シート”などにも、液晶が使われています。
 液晶がはじめて発見されたのは、1888年。オーストリアの植物学者・ライニッツアによって発見されました。「コレステロールの安息香酸エステル」の結晶を加熱していくと、白濁したねばねばした液体状のものに変化し、さらに温度を上げるとさらさらとした透明の液体に変化したそうです。この結晶と液体の間のものが「液体結晶(液晶)」です。
 理科の授業で、物質には「気体」「液体」「固体」の3つの状態に分かれると習います。しかし、物質のなかには、「固体(結晶)」から「液体」に変わる際、液体と結晶両方の性質をあわせもつ状態になるものがあり、これを液晶といいます。

 この液晶には、いくつか種類があります。そのうち、感温シートなどに使われている「コレステリック型」の液晶は、温度によって色が変わる性質があります。“温度によって色が変わる”と言いましたが、正しくは、“温度によって反射する色が変化するため、色が変わって見える”のです。
 人間に見える物の「色」は、物に当たって反射した光の色です。例えば、りんごが赤く見えるのは、りんごに当たった様々な色の光のうち、赤色の光だけを反射しているからなのです。光を全く反射しないと黒に、すべての色を反射すると白に見えます。
 コレステリック型の液晶は、温度によって反射する色が変わります。
 それは、この液晶の構造が温度によって変化するからです。この液晶の分子は、らせんの形をしています。温度によって、このらせんの幅が変わると、反射する光の色が変わります。これを「選択反射」といいます。
 そのため、温度が低いと青紫などの色になり、温度が高いと緑、オレンジなどの色に変わって見えるのです。

 液晶の実験には、市販されているキットが使えます。このキット『色が変わる! 魔法の宝石を作ろう オーロラジュエリー』には、食品添加物としても使われる「ヒドロキシプロピルセルロース」が使われています。これを水に溶かすと、温度によって色が変わることで知られています。少しの水を溶かして粘性が高くなったものを、型に入れて色が変わる様子を観察することができます。ぜひキットを使って、温度で色の変わる液晶を観察してみましょう。

 

学研プラス STEAM事業室 赤澤美帆

 

『色が変わる! 魔法の宝石を作ろう オーロラジュエリー』

 レインボーに色が変わる、不思議な宝石「オーロラジュエリー」が5つ作れるキット。光に透かしたり、冷やしたりすると、オレンジから緑、青まで、さまざまに色が変わります! 作り方はかんたん。粉を水で溶かして一晩おくだけで、色が変わる不思議な宝石が作れちゃいます。ストラップ・ボールチェーンが付いて、キーホルダーとしても使えます。A4変型判 価格:1740円(税別)
https://hon.gakken.jp/book/1575064400