[編集発行] (公財)つくば科学万博記念財団 [協力] 科学技術振興機構(JST)・文科省研究交流センター

つくばサイエンスニュース

ここに注目!

つくばコミュニケ

(2016年6月29日)

 今年、つくばの研究活動にとって重要な計画や方針が相次いで決定されています。主なものを上げると、第5期科学技術基本計画、第3期いばらき科学技術振興指針、科学技術イノベーション総合戦略などです。第5期科学技術基本計画は、5年ぶりに改定され、超スマート社会の実現を目指し、科学技術と社会との関係を大きく変革しようとする取り組み(Society5.0)を進めるものです。超スマート社会とか、Society5.0というのは、やや耳慣れない言葉ですが、科学技術によって、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会につぐ5番目の社会を作り出そうというものです。とはいっても、何かピンとこないものがあるのは、これまで私たちが経験したことがない、未来の社会の姿だからだと思います。こうした科学技術政策の大きな方針は、つくばで研究活動を行う研究機関や大学の在り方にも大きな影響を与えるもので、研究集積拠点であるつくばの役割は、今後一層大きなものになると思われますが、「つくば」の名を国際科学技術政策上に永く確固たるものとしたのは、5月に開催されたG7茨城・つくば科学技術大臣会合で合意された「つくばコミュニケ」です。

 このコミュニケ(共同宣言)は、日・伊・加・仏・米・英・独・EUの科学技術大臣が今後の地球規模の課題に関し、科学技術がどのような役割を果たし、あるいは、何をやらなければならないのかを共同宣言という形でまとめたものです。すでに、宣言文や会議の概要は公表されていますので、ぜひとも一読されることをお勧めします。筑波研究学園都市が生まれてから、50年。今や、2万人の研究者、100を超える研究機関・大学が集積をする国際的科学技術都市である「つくば」は、これまでにも多くの国や研究機関・研究者から注目されてきました。元来、科学技術研究開発活動は、世界を相手にする活動ですし、専門分野ごとに際立った研究環境が必要です。従って、特定の分野、例えば、コンピュータ・ITとか、ライフサイエンスとか、材料などの特定分野で、その分野の研究活動がしやすい環境を求めて集積するということはいくつか例があります。しかしながら、つくばのように、宇宙、物質材料、情報、農業、環境、防災、建築・土木、ロボット、ライフ、基礎物理など、ほとんどすべての科学技術分野の研究機関が集結し、実際に活動を継続していることは、あまり例が無いように思います。しかも、それぞれの機関の研究活動は、質や量からいって、各分野において日本や世界のトップクラスの成果を上げ続けています。筑波研究学園都市については、これまで、個別の研究機関は素晴らしいのに、「つくば」としては何が成果なのかよくわからない、単にたくさん集まっているだけではないかという指摘もありました。しかし、今回、各国の科学技術大臣が共同宣言のタイトルに「つくば」を入れたことは、つくばのこれまでの活動を理解し、今後の大きな発展に対し、大きな魅力を感じられたからではないでしょうか。

 こうした公式声明文に具体的な地名が記されることは、記された側にも大きな責任が発生します。これまでは、それぞれの機関が研究能力を高め、世界最高レベルの研究成果をあげることが重要でした。これからは、それに加え、「つくば」であるからこそ可能となる、連携による新しい研究領域の創造、複数かつ多様な研究活動の融合による社会との繋がりなどが重要です。そのためには、今、つくばで何が起こっているのか、どんな研究活動があるのかなどの情報の共有、コミュニティと研究開発活動との共生が重要だと考え、この「つくばサイエンスニュース」がそのためのツールになることができるよう内容も形態も一新しました。皆さん、このニュースへの継続的アクセスかつご意見ご要望等あれば是非ともお願いします。

公益財団法人つくば科学万博記念財団 理事長 田中 敏

田中 敏(たなか さとし)
平成27年1月文部科学省退職後、平成27年7月より公益財団法人つくば科学万博記念財団理事長(兼つくばエキスポセンター館長)。
科学技術の振興および、つくば地域に貢献する科学館を目指し、連携機関との連絡調整に日々努めている。