[編集発行] (公財)つくば科学万博記念財団 [協力] 科学技術振興機構(JST)・文科省研究交流センター

つくばサイエンスニュース

ここに注目!

つくばを新事業・新産業創出の場に-つくばイノベーション・エコシステムの形成を目指して-

(2016年12月01日)

 一般社団法人つくばグローバル・イノベーション推進機構(TGI)は、平成26年3月、「国際戦略総合特区」やつくば内外の関係機関の連携を通じたつくば発イノベーションの創出支援を目的に茨城県、つくば市、筑波大学が中心となって設立し、現在23の会員様からの支援で運営されている組織です。本年4月より、つくば市からのご支援を得てつくば駅至近の「つくばイノベーションプラザ」にオフィスを移しました。
 現在、TGIは8の特区プロジェクトの支援を行うとともに、地域内外の大学、研究機関、企業、金融機関、投資機関等の連携、協力を通じ、つくばの技術を新たな特区プロジェクトや事業化プロジェクトに仕立て、起業や企業への技術移転につなげていく活動を行っています。
 本年は、特に地域内外の企業等からの技術的なニーズに対し、筑波大学、物質・材料研究機構、農業・食品産業技術総合研究機構の協力を得て、つくばのワンストップ窓口「つくばテクニカルコンシェルジュ(TTC)」を開設し、これまで機関ごとに行ってきたソリューションの提供を地域が連携して行う仕組みとする取り組みをはじめました。また、つくばの大学、研究機関等が有する有望な技術を企業、投資機関等に積極的に売り込んで行くプロモーションイベントやピッチ会の開催などに力を入れています。
 また、筑波大学等とも連携して、アントレプレナー育成プログラムを共催するなど地域のイノベーション人材の育成支援やつくばの技術を持ったシーズ人材(大学や研究機関で自身の有する技術やノウハウの事業化を希望する者)と地域内外の事業化ノウハウを持った人材とのコラボを進めることによる事業支援を行っております。 
 これらに加え、さらに直接イノベーションの創出を起こす取り組みとして、つくばを代表する革新的な起業家である山海嘉之氏(筑波大学大学院教授、サイバーダイン㈱CEO)を事業プロデューサーに迎え、そのノウハウと経験を生かした事業化を行うプロジェクトを新たに開始しました。このプロジェクトでは、本年9月に文部科学省「地域イノベーション・エコシステム形成プログラム」(1~2億円/年)に採択された、筑波大学のコア技術をベースとした「緑内障など加齢に伴う眼疾患の早期発見・治療を実現する革新的な検査法の事業化」や「眠りに悩む人々へ家庭での計測が可能で専門技師による解析を要しない睡眠計測検査を可能とするウェアラブルデバイスの事業化」などが進められます。
 つくばは40年の歴史を経て200を超える国や民間の大学・研究所が集積する世界有数の研究学園都市に発展しましたが、今日、そのポテンシャルを生かした新たなイノベーションの創出など社会への貢献がこれまで以上に求められています。国からの大学、研究機関等への予算が減っている中、つくばからのイノベーション創出を増やしていくためには、これまでにはない多様な連携と事業化ノウハウの蓄積及びそれを回す仕組みが必要です。そのためには、先ずつくばの関係者のイノベーション創出に対する意識の醸成やインセンティブにつながる成功事例が大事です。TGIはその成功事例の創出につながる活動に取り組んで参ります。

 

 

末広 峰政(すえひろ みねまさ)
つくばグローバル・イノベーション推進機構(つくば市吾妻1-10-1つくばセンタービル2F つくばイノベーションプラザ)
事務局長(兼 筑波大学産学連携部長)
趣味はジョギングほか