[編集発行](公財)つくば科学万博記念財団 [協力] 科学技術振興機構・文科省研究交流センター

つくばサイエンスニュース

ここに注目!

新しい十年計画

(2017年4月15日)

 つくば科学万博記念財団(つくばエキスポセンター)は、このほど新しい十年計画(新中長期計画)を決定しました。公益財団法人は、毎年一定規模の収入の中で限られた事業活動を淡々と進めていくという性格が強いこともあり、当財団でも、平成17年度に策定した5か年計画以来、複数年にわたる業務の方針や事業計画を定めたものは策定してきませんでした。しかしながらそれでは、当財団が、今後どんな発展をしようとしているのか、「つくば」という国際的にも例がない研究活動集積都市の中でどんな役割を果たしていこうとしているのかといったことが曖昧で、将来の活動が見えにくいと考えました。また、もともと昭和60年(1985年)に開催された国際科学技術博覧会(つくば科学万博)の精神を引き継いで発足したため「万博記念館」というイメージが強く、プラネタリウムや最先端科学技術の展示や企画があるということについて、十分な情報発信もできないでいました。新しい中長期計画により、多様化する社会経済の環境に対応し、財団の目指すところを明確にすることが財団としての責務だと考えたものです。
 最近は社会経済活動のあらゆるところに科学技術が入り込んでいて、インターネットや人工知能、新素材開発の発達等により、科学技術依存度は急速に高まっています。未来の社会の形成には、生活とのかかわりあいの中で科学技術がどんな役割を果たすことになるのかを十分に理解し、吟味し、選択していくということが大事になってきています。ところが、科学技術の本当の内容や意味を理解しようとしたり、様々な研究分野でどんな新しいことが起きているのか知ろうとしたりするときに、その場は十分に用意されていません。科学技術による「コミュニティ創り」がいま求められていて、その役割を当財団が果たしたいと考えました。「つくば」という最先端の研究開発活動が日常的に行われ、大学等の教育機関が充実し、様々な国の研究者が暮らし、多くの住民の方が研究活動に関係するという、「科学技術の街」のほぼ中心に位置する当財団が選択した新しいミッション(使命)は、「科学技術によって人をつなぎ、未来をつくる人と文化を育てる」です。
 このミッションは、過去を反省し、未来の活動のあるべき姿を検討する過程で、多くの方からご意見・ご指摘を頂き、直接検討にも参加頂き、決定されたものです。科学技術がコミュニティの中で日常的に育まれ、科学技術を通して人と人、人と組織、組織と組織などが結びついていくことを通し、未来を担う新しい人材やアイデアが生まれてくるということに当財団は取り組む予定です。このためには、今の展示や催事の考え方、プラネタリウムの番組制作、屋外展示場の使い方などに多くの工夫が必要です。また、多くの地域の方々・関係する機関の方々との協力連携が不可欠です。
 「つくば」には数多くの機関が研究活動を進め、ものづくりをはじめイノベーション創出に向けた活動も行われています。ただ、どこでどんな活動が行われているのか、どんな人たちが研究活動を進めているのかといった情報を総合して全体がわかるような仕組みができていません。当財団は、「つくば」の研究開発活動全体の可視化(見える化)にも取り込もうと考えています。これまでのように情報を出す側の個々の研究機関紹介を行うだけではなく、情報を受け取る側からの視線で研究活動を捉えたり、展示・企画に合わせて研究機関に協力・連携頂いたりする場を提供しようと思います。
 これらは、一朝一夕にはできませんが、今後10年を目途に5年を目指して、取り組んでいきたいと考えています。平成28年度は18万4千人の方に入館していただきました。これは、最近20年間で最高です。私たちは、もっともっと多くの方にエキスポセンターにお越し頂けるよう、そして多くの年代層・社会層の方々に満足していただき、何度も足を運んでいただけるよう新中長期計画の実施に全力で取り組みますのでどうぞご期待ください。なお、新長期計画のもと毎月活動のキャッチフレーズも掲げることとし、4月は「みんなでサイエンス」です。新中長期計画の詳細はどうぞ財団HPをご覧ください。

田中 敏(たなか さとし)
平成27年1月文部科学省退職後、平成27年7月より公益財団法人つくば科学万博記念財団理事長(兼つくばエキスポセンター館長)。
科学技術の振興および、つくば地域に貢献する科学館を目指し、連携機関との連絡調整に日々努めている。